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ナナリーの車椅子 支給者 ナナリー・ランペルージ 所有者の変遷 車輪が破壊された状態でB-7の森に転がっています 説明 何の変哲もない車椅子 初登場話 0031:遥かに仰ぎ、麗しの アリス・ザ・コードギアスの衣装 支給者 ブレンヒルト・シルト 所有者の変遷 ブレンヒルトが着用 説明 原作四巻でアリスがネモと取引した際に与えられた衣装。特にこれといった能力はない 初登場話 0125:――――――geass
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庭師の鋏 支給者 真紅 所有者の変遷 真紅→ハドロン砲に巻き込まれ消滅? 説明 蒼星石の持つ鋏 初登場話 0009:それは不思議な出会い 庭師の如雨露 支給者 エルルゥ 所有者の変遷 エルルゥ→エルルゥの墓前に放置(E-2)→クリストファー・シャルドレード→グラハム・スペクター→北条沙都子 説明 翠星石の主武器。夢の中で人の木の成長を促進させるジョウロ。あまり戦闘向きではない。 初登場話 0033:上から来たぞ! 気をつけろ! くんくん人形 支給者 衛宮切嗣 所有者の変遷 衛宮切嗣→真っ二つにされました…… 説明 ローゼンメイデンの劇中劇、名探偵くんくんの人形。クロコダイルに真っ二つにされた。 初登場話 0012:魔術師と口先の魔術師 雛苺のローザミスティカ 支給者 レヴィ 所有者の変遷 レヴィ→北条沙都子 説明 ローゼンメイデンの命の源で、いわゆる「魂」の様な物。外観は幾重もの光輪を伴った結晶である。ローゼンメイデンがこれを持つと雛苺の茨を操ったり人形を巨大化させる能力を身につけることが出来る。 初登場話 0099:悪党御免
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偶然と必然のあいだ◆b8v2QbKrCM 廃坑の周辺は、浅緑の森林に包まれている。 道らしき道など見当たらず、ただ草木が地面に茂るばかり。 こういった場所にありがちな獣道すら出来ていないのだ。 ――そういえば鳥の声も聞こえないな―― 小鳥遊は梢から覗く空を見上げながら、そんなことを思った。 深夜から今に至るまで、そんな当たり前の音に出会っていない。 都会ですら鳥の囀りとは無縁でいられないというのに。 聞こえるのは、小鳥遊と佐山が草木を踏む音と、風が葉を撫でる音。 そして、どこからか響く小川のせせらぎ。 見た目は『自然』そのものだが、感じる気配は『不自然』そのものだ。 ――植物も生き物だけど、動物と扱いが違うのかも―― 思考が脱線しはじめた途端、視界がぐらりと揺らいだ。 足元に感じる固い感触。 でたらめにひっくり返る平衡感覚。 空を見上げたまま歩いていたのが悪かったのだろう。 小鳥遊はひょっこりと顔を出していた石に躓いて、盛大に地面へ倒れ込んでしまっていた。 「痛たた……」 「大丈夫かね?」 前を歩いていた佐山が立ち止まる。 小鳥遊は大丈夫だと答え、すぐに立ち上がった。 露出の少ない服装が幸いして、怪我はどこにも―― 「あ……」 ――無いわけではなかった。 左手の付け根辺りに軽い挫傷が出来ている。 咄嗟に手を突いたときに擦りむいたのだろう。 とはいえ出血もないので、怪我と呼ぶのも躊躇われる程度だ。 「軽傷だが、汚れを水で洗い落としておいたほうがいい。 そこから化膿することも考えられる」 「うん、えっと……」 小鳥遊はしばし辺りを見渡して、林の向こうへ走り出した。 先ほどから微かに聞こえていた小川の水音。 水と聞いて真っ先にそれを連想したのだ。 「待ちたまえ、生水での洗浄は――」 そこで言葉を切り、佐山は小鳥遊の後を追った。 声で制止するより直接止めたほうが手っ取り早いと考えたのだ。 生水には何が混ざっているか分かったものではない。 下手をすれば、洗わないよりも悪くなることまで有り得る。 歩調の違いもあって、佐山は数秒と掛からず小鳥遊に追いついた。 「傷口の洗浄には飲料水を使ったほうが……何をしているのかね?」 「えっと、これなんだけど……」 先に小川へ辿り着いていた小鳥遊は、傷を洗うでもなく、水中に右手を突っ込んでいた。 よくよく見れば、川底の何かを引っ張り上げようとしているようだ。 佐山は小鳥遊の意図を理解し、川底の『何か』を下敷きにしていた大きな石を持ち上げた。 「これは……」 「地図……だね」 小鳥遊が川底から引き上げたもの。 それは一枚の地図であった。 水でくっ付いた部分を、千切れないよう慎重に開いていく。 相当浸水しているが、紙としての体裁はどうにか維持している。 もしこれが全員に支給された地図であったなら、そうと知れた時点で捨て置いただろう。 しかしこの地図に描かれた地形は、二人が未だ見たこともないものであったのだ。 佐山と小鳥遊は、平らな石に濡れた地図を広げた。 一目で分かるその異質。 色鮮やかに塗り分けられた通常の地図と違い、暗色系ばかりが占めている。 山や谷のような地形の起伏すらも描画されていない。 「ふむ」 おもむろに、デイパックから自分の地図を取り出す佐山。 小鳥遊は佐山の意図を汲みきれず、訝しげに首を傾げている。 「何か分かる?」 「ああ、ここを見たまえ」 そう言って佐山が指したのは、濡れた地図の上端の余白であった。 水に浸かっていたせいで読み取りにくいが、算用数字で1から8までの数字が印刷されている。 「そして、左端にはAからHまでのアルファベット――」 「――そうか、地下の地図!」 思わず声を上げた小鳥遊に、佐山は小さく頷いてみせた。 それと分かれば、意味不明だった地図の内容も理解できる。 「色の濃くなっている部分は地中で、根のように広がっている、色の薄い部分は坑道内部。 恐らくはそういう意味合いなのだろう。入り口の位置ももH-2エリアと一致する」 感心したように地図に見入っていた小鳥遊だったが、やがて怪訝そうに眉をひそめた。 坑道の地図が存在すること事態に疑問はない。 迷宮探査ボールという代物がある以上、こんな地図は下位互換の支給品でしかないからだ。 小鳥遊が気に留めたのは、また別の点であった。 「どうしてそんな地図が川の中なんかに……。 わざわざ石の下に敷いてあったんだから、前の持ち主がうっかり落としたってわけじゃないんだよね」 隠し場所としては保存状態があまりにも悪くなりすぎる。 多少の防水加工はしてあるようだが、度が過ぎれば、このとおり。 「君はどう考える?」 「えっと……」 水中は、地図の秘匿には致命的に向かない。 見つかりにくい場所ではあるが、長時間で使用不能になってしまう。 かといって破棄する手段としては悠長だ。 こんな小川で、しかも石を錘にしているのだから殆ど流されないだろう。 水を吸ってダメになるのも、数時間、或いは十数時間は後のこと。 秘匿には不向きで、破棄にも不適。 ならばその間―― 「バレにくい隠し場所で……もし回収できなくなっても、自動的に処理してくれるから……?」 「私も同じ推理だよ。最善の策とは言いがたいが、次善の策としては選ぶ価値はあるだろう」 佐山は腰を上げ、周囲を見渡した。 その表情が変わったことを横目に見止め、小鳥遊も立ち上がろうとする。 「ストップ。動かないように。確かめたいことがあるので、暫くそのままの姿勢でいてくれたまえ」 そう言い残すが早いか、佐山は坑道へと走り去っていった。 「ちょっと佐山君ー!」 取り残された小鳥遊の声など聞き届けずに。 ◇ ◇ ◇ 人の足を停めるのは〝絶望〟ではなく〝諦観〟 人の足を進めるのは〝希望〟ではなく〝意志〟 ―――さあ、行くんだ ◇ ◇ ◇ 「随分と奇怪な姿勢だね。新手の健康法かい」 「佐山君が動くなって言ったんじゃないか……」 小鳥遊は恨めしげに佐山を見やった。 律儀にも同じポーズを続けていたのか、中途半端に立ったままの格好でガクガクと震えている。 「それより、どこにいってたの?」 「これを借りに。事実上の無断拝借なのだが、そこは許して貰おう」 佐山の手にあったのは、片方だけの革靴であった。 小鳥遊が疑問を挟む間もなく、佐山は小鳥遊の足元に屈み、泥に靴底を押し付けた。 「やはり同一だな」 同じ大きさ、同じ形の『二つの』靴跡。 ひとつは先ほど佐山が付けたもの。 もうひとつは、小鳥遊が地図を見つけるよりも前から―― 「まさか……」 「そのまさかだよ。この靴は廃坑の亡骸から拝借したものだ。 単なる地下の地図が、重大な意味を帯びてきたように感じるのは私だけかな」 小鳥遊はぶんぶんと首を振った。 坑道で佐山に聞かされた仮説を思い出せば、これ以外の反応はできまい。 首輪のない参加者――彼が秘匿しようとした地図。 それが無意味であるはずなど。 偶然通ったに過ぎないという考えは、足元を見るだけで瓦解する。 川岸の泥に刻まれた足跡は、佐山と小鳥遊、そして革靴のそれだけだ。 地図を秘匿したのは革靴の主以外にありえない。 獏に『彼』の夢を見せられたとき、小鳥遊は伊波のことばかりに気を取られて彼の行動を注視していなかった。 尤も、佐山もまた『彼』の一挙一動を仔細に記憶していたわけではない。 あのときは首輪に注意を集めており、足跡を見つけたことでようやく、地図との関連性に思い至ったのだ。 「彼はこの地図に何を見たのだろうね。 危険人物には渡せない情報が載っていると確信したのか。 或いは、万が一そんな情報があるといけないという、保険程度のことだったのか」 一端言葉を切り、佐山は生乾きの地図を手に取った。 最初は理解できなかった表記も、地下の地図であると知った上で見れば新たな発見がある。 「差し当たって怪しいと思えるのは、これだ」 佐山は、坑道の北に描かれた歪な青い楕円を指し示した。 座標でいえば、おおよそD-2、D-3、E-2、E-3の4エリアに跨っている。 地上の2つの湖を加えれば、大きな円環を描く形になることだろう。 「私はこれを『地底湖』だと考える」 小鳥遊は神妙に、佐山の言葉に耳を傾けていた。 皆が立っている地面の下に湖がある。 何の前振りもなく聞けば眉唾だと思うに違いない。 だが、小鳥遊は充分すぎるほど前振りを経験してきていた。 「靴を借用するついでに確認したのだが、この小川は廃坑の付近で地面の下へ流れ込んでいる。 つまり地下にも水の流れがあるということだ」 「てことは、あの人が隠したかったのって」 先走りかけた小鳥遊の思考を、佐山は身振りで否定した。 「先にも言ったが、万が一を防ぐための保険だったのかもしれない。過信は禁物だよ」 とはいえ、この地図が重要な情報源であることに変わりはない。 命を賭して伊波まひるを救った彼が、小鳥遊宗太にも遺産を残したというのは、流石に夢想が過ぎるだろうか。 「道草を食いすぎた。地図は移動しながら乾かすとしよう」 「うん、目指すは――」 小鳥遊は森の向こうを仰ぎ見た。 この選択が正しいのかは分からない。 けれど後悔だけはしないつもりだ。 「――古城、だね」 ◇ ◇ ◇ 「―――さあ、行くんだ。この方向に行けば、とりあえずは安全な場所に出られるだろう」 男は自らのデイパックを少女に差し出した。 近くに落ちていた少女のデイパックを渡したと誤認させるように。 少女は躊躇っていたようだが、真っ直ぐな目でこちらを見つめ立ち上がると、 「ありがとうございました」 綺麗なお辞儀をし、森の向こうへと走り去っていった。 少女の姿が夜闇に消えたのを確認し、男はデイパックを開いた。 『奴』に力を渡すわけにはいかないと考え、少女に“あれ”を託した。 しかしこちらにも“あれ”の類が入っていないとも限らない。 果たして中身は――奇妙な果実と、異様な地図。 「こいつは――」 男は地図を抜き取り、今しがた越えてきたばかりの小川へと踵を返す。 後退、即ち『奴』への接近に他ならないが、もはやそれは度外視だ。 折り畳んだ地図を小川へ放り、足で適当な石を落としておく。 ざぶりと立った水音は、片脚を突っ込んだときと大差ない。 むしろ『奴』を確実に引き寄せる撒き餌になってくれるだろう。 「これでよし、とは言い難いが」 デイパックに入れたままで奪われてしまうよりは幾分かマシだ。 もうこれ以上の措置は取りようがないのだから。 それよりも男は、少女がここから離れてくれた事に安堵していた。 「……私は卑怯なのかもしれないな」 物思いに耽る暇もなく殺気が近付いてくる。 今は、出来る限り時間を稼がなければならない。 そのためには、すぐに殺されるわけにはいかない。 「……―――来たか」 男は小川を離れ、迫り来る脅威へと向き直った。 【H-3 森林/一日目 日中】 【佐山・御言@終わりのクロニクル】 [状態]:健康、左腕欠損(リヴィオの左腕を移植) [装備]:つけかえ手ぶくろ@ドラえもん(残り使用回数3回)、獏@終わりのクロニクル [道具]:基本支給品一式(一食分の食事を消費)、空気クレヨン@ドラえもん [思考・状況] 1:古城へ向かう。 2:優先順位に従い行動する(注1) 3:本気を出す。 ※ポケベルにより黎明途中までの死亡者と殺害者を知りました。 ※小鳥遊が女装させられていた過去を知りました。 ※会場内に迷宮がある、という推測を立てています。 ※地下空間に隠し部屋がある、と推測を立てています。 ※リヴィオの腕を結合したことによって体のバランスが崩れています。 戦闘時の素早い動きに対して不安があるようです。 ※地下鉄を利用するのは危険だと考えています。 ※過去で伊波の顔を知りました。 【小鳥遊宗太@WORKING!!】 [状態]:健康、腹部に痛み [装備]:秘剣”電光丸”@ドラえもん [道具]:基本支給品一式(一食分の食事を消費)、地下の地図 [思考・状況] 1:古城へ向かう。 2:優先順位に従い行動する(注1) 3:佐山と行動する。 4:ゲームに乗るつもりはない。 5:全てが終わった後、蒼星石と吉良吉影を弔ってあげたい。 ※ポケベルにより黎明途中までの死亡者と殺害者を知りました。 ※過去で新庄の顔を知りました。 ※獏の制限により、過去を見る時間は3分と長くなっています。 ※地下鉄を利用するのは危険だと考えています。 注1:これからの行動の優先順位(1から高い順) 1、まずは強力な武器を見つけ、ラズロの様な参加者にも対抗可能な状況を作る。 (戦闘力を持つもの(ゾロなど)との合流なども含む) 2、新庄と伊波を捜索して保護する。 3、4-C駅へと向かい、ストレイト・クーガーの仲間と合流をする 4、地下鉄内を探索する 【地下の地図】 伊波まひるに支給され、高槻巌によって隠匿されていた。 廃坑の内部や地底湖(D-2、D-3、E-2、E-3)などについて記述されている。 どれほどの情報が記載されているのかは不明。 少なくとも、地下鉄の経路については記されていない。 時系列順で読む Back 瞬間 Next 知人の奇妙な行動 投下順で読む Back 拳 Next 銃弾と力だけが真実さ Back Next 境界線上の小鳥遊宗太 佐山・御言 Free Bird(前編) 境界線上の小鳥遊宗太 小鳥遊宗太 Free Bird(前編)
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にんげんっていいな◆SqzC8ZECfY 「友達にならないかい?」 眼前でにこやかな笑みを浮かべながら、そう提案した異形の男を前に、翆星石はかなり混乱しながらも思考する。 ここで気絶しているチビ人間をすぐに殺さなかったこと。 そしてそうしながらも、帰る方法が見つからなければ殺し合いに乗ると言う。 よくわからない――――翆星石が抱いた第一印象がこれだ。 掴みどころがないのだ。 その外見もさることながら、その態度。 翆星石をだますつもりなら、殺し合いに乗っているなどと、わざわざ言うことはないだろう。 名探偵くんくんを欠かさず視聴する自分にとって、この程度の推理はお手の物だ。 ――ふふふ、翆星石をあまり甘く見ないほうがいいですよ、サメ人間。 心の中で根拠のない自信とともにほくそ笑む。 「そうやって混乱させておいて、後ろからガブリといくつもりですね? そーはいかないですぅ!」 「あ、それもいいかもね?」 「あっさり認めるなですぅ!?」 ますますわからなくなった。 どうすればいいのか。 翆星石自身としては喧嘩はいやだ。 みんなで仲良く。 あの家で和やかな日々を過ごしたことを思い出す。 蒼星石が動かなくなってしまった喪失感を知っているからこそ、それがとても大事なことだと理解できる。 だから殺し合いと言う選択肢だけは選べない。 「す、翆星石は殺し合いなんか絶対にしねーんですぅ! だからお前がそれをするなら友達になんかなってやらないのです!」 「じゃあ、どうやってここから帰るのさ?」 「う……」 「僕だって帰る方法があるなら、それに越したことはないけどね。というか、どうやってここに来たのかも分からないしさ。 君はそれでも……帰れると思うかい?」 思わず言葉に詰まる。 でも、やっぱり、それでも駄目なのだ。 そんなことぐらいで引き下がるなら最初からアリスゲームでもそうしている。 ローゼンメイデン同士で、最後の一人になるまで、自身の命とも呼べるローザミスティカを奪い合う戦いに身を投じていただろう。 それができない。 それが翆星石なのだ。 だから――――。 「……それでも殺し合いなんかしないんですぅ!」 力いっぱい、なかばやけくそ気味に叫んだ。 ですぅ……ですぅ……と、残響音が暗い森に響いていく。 その声に軽く驚く、クリストファーと名乗る異形の男。 やれやれ、といった感じで軽くため息をついたが、不意にあらぬ方向へと顔を向けた。 目を細め、暗い闇の先を見通そうとしているようだ。 赤い眼球、その中心に白い虹彩、黒い瞳孔。 月明かりを跳ね返すそれらは人間からかけ離れた、まるで作り物の人形のよう。 「……どうしたですか、サメ人間?」 「いや……向こうで何か光った気がしたんだけど」 「ええっ?」 「ひょっとしたら殺し合いが始まってるのかもね? あの光は爆弾かな? 銃かな? ここにも来るのかな?」 突如として楽しそうに語りだすクリストファー。 翆星石には何がなんだか分からないが、お構いなしに言葉を紡ぐ。 「あるー日ー 森の中ー 殺し屋にー 出会ったー 殺し合い 殺し合い 銃殺 斬殺 ララララララー♪」 「歌いだすなですぅ!?」 「真っ赤な花が咲くよ 血の花が咲くよ 今だー必殺 森パーンチー♪」 翆星石の突っ込みを無視して珍妙な歌は続く。 呆然とそれを見ているとついにはくるくると回りだした。 「…………わけわかんねーです」 なんだか馬鹿らしくなってきた。 翆星石はぐったりと肩を落とす。 「と、まあ冗談はこのへんにしておいて、と」 「……冗談に見えねーです」 「ひどいな。僕が殺し合いのさなかに歌って踊る奇妙な変人だなんて。僕ってそんな風に見られていただなんて。 あー傷ついたー傷ついたー。ま、嘘なんだけど」 もはや突っ込む気力も無くなってきた。 いや、とっくにそんな気は失せているのだが、話し相手が他にいないので、ついつい会話に乗ってしまう。 そしてそのことに自分で気付き、この馬鹿馬鹿しい変態の他に誰も話し相手がいない状況にさらにぐったりする翆星石なのであった。 「これは真面目な話でね。どうだろう、一緒に行動しないかい?」 「翆星石は殺し合いなんかしねーですよ」 「うわ、ぶっきらぼうな返事。いや、それでいいんだけどさ。君がそういうなら僕も殺し合いしないから。 というか最初からしないっていってるし……これならどう?」 「信用できねーです」 というか、最初から信用されようとすらしていない風にすら見える。 そもそも理解しようとすればするほど頭が混乱してくる類の人間だ。 こんなやつは今まで会ったことがない。 「うんそれがいい。友達として忠告するけど、初対面でいきなり友達になろうなんて人間は信用しないほうがいいよ。 人生を破滅させられる」 「いつ友達になったですか!? そもそもお前が何をしたいのかよくわかんねーですぅ!!」 「いつというなら今さっき。なにがしたいって友達になろうっていってるじゃない。目標は友達百人さっ」 「あーもー埒が明かねーで……」 消えた。 忽然と目の前にいたはずの男の姿が見えなくなった。 翆星石は何が起こったのかと目を見開いたが、やはり一瞬前までたしかにいたはずの赤い目の怪物が消えた。 ――とっ、と僅かに音がした。 背後から。 振り返る――――そうしようとして、できなかった。 そっと抱くように翆星石の両肩に手が置かれたからだ。 全く力が入っているように見えないが、その手が振り返ることを許さない。 そして翆星石の視界にぎりぎり写った、自分の肩を抑える手から伸びる腕、それを包む特徴的な服の袖口。 「さ……サメ人間!?」 「せいかーい。僕ってすごいでしょ。で、ここからが本題なんだけど……」 「う……」 「殺し合いだからね。誰かがこうやって君の事を襲ってくるとも限らない。そうなったら君はどうするのかな?」 ぎちり――と空気が密度を増したような気がした。 今にも翆星石の肩を掴む手が破壊の意思を持って襲い掛かってくるかように思えた。 陽気に飄々と話すクリストファーの声がかえって不気味だ。 「それでも殺し合いは嫌かい? 自分の身に危険が降りかかっても? 殺られる前に殺れ、って思わない?」 「あ……ぅ……」 その問いに翆星石の心は追い詰められていた。 最初に集められた空間で起こった殺人劇と悲痛な叫びがフラッシュバックする。 言いようのない重圧が翆星石の心を締め付けていく。 視界が狭まって何も考えられなくなる。 殺さなければ死ぬ? ならば殺さなければならない? どうするどうするどうするどうする? それでも思考の中心に最後に残ったのは――――、 目を閉じて動かない蒼星石だった。 「……やっぱり、駄目なんですぅ!!」 「うわ……!?」 「死んだらもう二度と話せないです! 皆で仲良くお茶することもテレビを見ることもできないのです! 殺し合いなんて、するのもされるのも絶対に御免なんですぅ!!」 まくしたてた翆星石の言葉にクリストファーは数秒間の沈黙を返す。 感情をそのまま叩き付けた後で、何も言ってこないその静かな数秒。 それは翆星石にとって耐え難いほどの数秒だった。 そしてついにクリストファーから返ってきたその言葉は全くの予想外。 「……素晴らしい!」 「はぃ?」 「いいね! 人形なのにとても人間らしい! 友達になろう! いや是非なってくれ! いいなぁ、憧れるなぁ、素敵だなぁ! ラ、ラ、ララ、ララルルラ♪」 「ちょ、ちょ、ちょっと待つです――――ッッ!?」 クリストファーは翆星石の両手を掴んでぶんぶんと振り回す。 テンション爆高のままでしばらくそうしていたが、目を回し始めた彼女に気付いてようやくその動きを止めた。 「おっと、ごめん。大丈夫?」 「こ……この……なんてことしやがるですか……」 「あはは、ほんとにごめん。でも嬉しいなあ。よし、こうしよう!」 もはやここが殺し合いの真っ只中で、騒ぐと見つかるかもしれないという状況を、完璧に思考の彼方にすっ飛ばしている。 そして高らかにクリストファーは宣言した。 「翆星石は殺し合いはしたくない、と。なら逃げ出す方法に心当たりは?」 「そ、それはないです……けど」 「ああ、分かってる。それでも殺し合いはしたくないんだろ。じゃあ、逃げ出す方法を知ってそうな人を探そうじゃない」 「サメ人間は心当たりがあるんですか?」 その問いに、いいや、何にも――と朗らかに答えるクリストファー。 そしてここで出会ってから何回そうしたかも分からないほどに繰り返したリアクションを取る、つまりがっくりとうなだれる翆星石。 その時、森の中に音が響いた。 それは明らかに遠くから聞こえる音であり、日常からかけ離れたものであった。 翆星石には分からない。 しかし、それはクリストファーには馴染み深い音でもあった。 「……銃声?」 「え……銃声って、あの音がですか?」 今度は翆星石もその音を拾うことができた。 さっきの光よりも位置が近いことだけは間違いない。 「どうする? 音の方向に行ってみる? それとも逃げる? ああ、あの子はどうしようか? 置いてく?」 「それは――――」 「ああ、置いてくわけないよね。うん分かってる、僕が担ごう」 クリストファーは翆星石の答えを待つまでもなく気絶した少女を背中に担ぎ上げた。 翆星石は確かに見捨てるより助けるほうを選びたかった。 だがクリストファーにしてみれば、この少女はいきなりこちらを刺そうとした人間なのだ。 「お前は……いいんですか? そいつはさっき……」 「ああ、大丈夫、大丈夫。僕ってかなり強いから。本当ならとっても強いって言いたいところなんだけど……」 「?」 「まあいいや。こっちの話。とにかく大丈夫さ、また襲ってきたって殺さないように返り討ちにできるから。君は殺すのは嫌だろ?」 それはそうだ。 だが、どうしてそこまで翆星石に気を使ってくれるのかが分からない。 先に襲ってきたんだから荷物くらい使ってもばちは当たらないよねー、などと言いながら少女の荷物を漁る怪しいサメ人間にその疑問をぶつけてみた。 「ん? 友達だから」 あっさりと言い切った。 「……初対面でいきなり友達とか言い出すヤツを信用するなと自分で言ったではねーですか」 「うん、だから信用しなくていいよ。君は僕を利用すればいいじゃない。僕は勝手に友達として君を手伝うし」 「それは、友達とは呼べるのですか?」 「友達は利用するものさ。共生関係・寄生関係は自然界の立派な摂理だよ。 ナマコとその内臓に隠れ住む小魚にだって友情が生まれないとも限らない。 一緒にいて安心するっていうのだって、自分の心の平穏のためにその人を利用してるとも言えるだろ?」 翆星石はしばし呆然としていた。 おかしなヤツだとは思っていたが、本当に理解しようとすればするほどわけが分からない。 「本当に変わってるですね、お前は……」 「よく言われるよ。むしろ言われる間もなく外見でわかりそうなもんだろ?」 はあ、と思わず深いため息が漏れる。 もっともひとりでに動いてしゃべる人形である自分自身も人のことは言えないのだが。 見ればクリストファーはその背に少女を担いだまま、さらに自分の荷物からとりだしたらしい銃火器を片手に構えている。 「さて、準備はできた。あと、はいこれ」 「なんですか、これは? ……マドレーヌ?」 顔を近づけてよく見ると甘い香りが漂ってきた。 ここが殺し合いの場でなければ、お茶を淹れて楽しみたいと思わせる上質のお菓子の香り。 「どうも僕が作ったものらしいんだよねえ、これ。ほら、説明書きに【クリストファーのマドレーヌ】って書いてある」 明かりをつけて説明書きらしい紙片を照らすと、そこには確かにそう書いてあった。 さらに『とても美味しい』とも。 「いやあほめられると照れるねえ。たしかに食べてみるとこれ僕のだよ。うん、美味しい」 一つ取り出して齧りながらにこやかに微笑む。 だがその表情はともかく、微笑んだ口の中全ての歯が八重歯というのがどうにも不気味だ。 そして翆星石にも勧めるクリストファー。 「……それ、毒とか入ってたらどうする気ですか?」 「え、大丈夫だよ。僕が作ったんだし、ほら食べてもなんともないし」 「そうでなくて、あのギラなんとかが渡した荷物の中に入ってたんなら、ヤツが何か入れてるかもしれないですぅ!」 「あ――――」 その瞬間、クリストファーの表情が固まった。 そしてさらに苦悶に歪む。 「ぐ……くぁ……」 「わ――――――ッッ!? しっかりするですサメ人間!!」 「……って、うっそー。あはは、驚いた?」 「…………」 しばし固まった後、翆星石がクリストファーに向けて放ったのは、殺気すらこもった視線とどす黒いオーラであった。 背中に冷たいものを感じて、慌ててクリストファーは話題を変える。 「……うん、こんなことしてる場合じゃないよね。話を戻そう。どうする? 向かう? 逃げる? 迷う時間はあまり掛けないほうがいいと思うよ?」 「それなら余計なことすんなですぅ! ここはー……銃でドンパチやってるヤツがいたらチビチビ人間が危ないし、ひとまず逃げるです!」 「オーケー、じゃあいこうか。さあ掴まって」 マドレーヌを一つ、翆星石になかば無理矢理押し付けるように渡してから、クリストファーは翆星石の小さな身体をひょいと担ぎ上げた。 もう一人の少女も背中に背負っておきながら、少しも重そうな素振りを見せない。 この御伽噺に出てくる吸血鬼みたいな青年の『僕はかなり強い』という言葉はハッタリではなさそうだった。 「……いくよ」 たんッと地面を蹴る音。 それが幾度も繰り返されるうちに、みるみるうちに森の風景が風を切るような速度で後方へと流れていく。 翆星石は振り落とされないために、しっかりとクリストファーの肩を掴んだ。 どれくらいそうしていただろうか。 ふと気付くといつの間にか夜が明けようとしていた。 森の木々がまばらになって、陽光が木々の間からシャワーのように降り注ぐ。 目を細めてその空を眺めると、ふと翆星石の視界の端を大きな観覧車の影がかすめたのだった。 【G-2南部 森の出口付近/1日目 早朝】 【クリストファー・シャルドレード@BACCANO!】 [状態]:健康 、沙都子と翆星石を担いでいます。 [装備]:F2000Rトイソルジャー@とある魔術の禁書目録(弾数100%)、5.56mm予備弾倉×4 [道具]:支給品一式×2、鉄板入りの鞄@WORKING!!、クリストファーのマドレーヌ×8@バッカーノ!シリーズ 包丁@あずまんが大王、不明支給品(0~1) [思考・状況] 1・ 友達の翠星石に付き合う。 ※ローゼンメイデンについて簡単に説明を受けました。他のドールの存在は聞いていません。 ※名簿はまだ見ていません。 ※参戦時期は、『1934完結編』終了時です。 【翠星石@ローゼンメイデン】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:クリストファーのマドレーヌ×1 支給品一式 不明支給品(1~3) [思考・状況] 1・サメ人間と友達に……? 2・真紅たちに会いたい。 3・ゲームに乗るつもりはない。 ※参戦時期は蒼星石が動かなくなった後です。 ※名簿を確認していません。 【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に】 [状態]:やや擦り傷 気絶 L4? [装備]:なし [道具]:なし [思考・状況] 1・部活メンバーに会いたい。 2・死にたくない。 ※参戦時期は具体的には不定。ただし、詩音を『ねーねー』と呼ぶほどに和解しています。 ※名簿は確認したようです。 ※雛見沢症候群の進度は具体的には不明。L5まで進行した場合、極度の疑心暗鬼と曲解傾向、事実を間違って認識し続ける、などの症状が現れます。 説得による鎮静は難しいですが不可能ではありません。治療薬があれば鎮静は可能ですが、この場にあるかどうかは不明です。 【F2000Rトイソルジャー@とある魔術の禁書目録】 クリストファーに支給された。 現実にあるF2000というアサルトライフル(全長694mm 重量3.6kg 発射速度850発/分 装弾数5.56mm弾×30発)をカスタム化したとおぼしき架空の小銃。 赤外線ポインタによる照準機能と電子制御による弾道計算機能が内蔵されており、風向きや距離を自動的に調整してくれる。 さらに銃身を覆う特殊ゴムと炭酸ガスによって反動は極限まで軽減される。 いわく、小学二年生でも撃てる「怪物」らしい。 【クリストファーのマドレーヌ@バッカーノ!シリーズ】 北条沙都子に支給された。 お菓子やデザートの味にうるさく市販の味では飽き足らないクリストファーが自作したマドレーヌ。 食べたものは口を揃えて美味しいと認める一品。10個入り。 時系列順で読む Back 戦いへの想い Next 荒城の暁 投下順で読む Back 戦いへの想い Next 荒城の暁 Back Next 『友達』 北条沙都子 心に滲んだ赤いアラベスク 『友達』 翆星石 心に滲んだ赤いアラベスク 『友達』 クリストファー・シャルドレード 心に滲んだ赤いアラベスク
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作者・◆YcpPY.pZNg氏 お気に入りキャラ・バトルロワイアル本編 お気に入りキャラ・バトルロワイアル本編SS目次・時系列順 お気に入りキャラ・バトルロワイアル本編SS目次・投下順 お気に入りキャラ・バトルロワイアルキャラ別SS表 ◆YcpPY.pZNg氏の参加者名簿 ◆YcpPY.pZNg氏のネタバレ名簿 ◆YcpPY.pZNg氏の死亡者リスト ◆YcpPY.pZNg氏の支給品一覧
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お父さん帽子 支給者 ウソップ 所有者の変遷 キラークイーンによって粉微塵になって消滅しました。 説明 ちよたちが高校2年生の文化祭の時にクラスで作った帽子。 なお、本来は普通に頭に被るものだが、作中では木村先生が顔の上半分を隠す覆面のように装着していた。ちょうど帽子に描かれた目が目の辺りに来る格好になる。何故かこの状態でも視界はちゃんとあるらしい。 初登場話 0006:[[]] 包丁 支給者 北条沙都子 所有者の変遷 北条沙都子→クリストファー・シャルドレード→レヴィ→クレア・スタンフィールド→G-3遊園地に放置 説明 初登場話 0045:『友達』
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キャラ別SS表 【うたわれるもの】 【BACCANO!シリーズ】 【ひぐらしのなく頃に】 【スクライド】 【ローゼンメイデン】 【ワンピース】 【ジョジョの奇妙な冒険】 【とある魔術の禁書目録】 【ポケットモンスターSPECIAL】 【終わりのクロニクル】 【トライガン・マキシマム】 【Fate/Zero】 【BLACK LAGOON】 【コードギアス ナイトメアオブナナリー】 【ドラえもん】 【WORKING!!】 【ARMS】 【あずまんが大王】
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【高槻巌】2 0002 (無題002) サー・クロコダイル、高槻巌 0032 『希望』 ウィッシュ ◆o9OK.7WteQ 高槻巌、伊波まひる
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アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL